男前なら空気を作れっ!
去年読んだのに、まだブログに書いていなかった本があるので、今更ながらですが、書きます。
戦略PR
著者はマーケティング会社「ブルーカレント・ジャパン株式会社」代表の本田哲也さん。
出版元は、「明日の広告」がヒットしたアスキー新書。
ちなみに巻末では「明日の広告」の著者、佐藤尚之さんとの対談もあります。
本書が言いたいことを自分なりの解釈で簡単にまとめると、
人の心理を上手に利用し、なんとなく内側から購買意欲が湧いてくるようなストーリーを作り、しれっと世間に放て。
サブタイトル「金を使わず空気を使え」
という感じです。
目に止まった部分をつまみ食いしながら、もう少し詳しく書いてみたいと思います。
まず本書の冒頭でカジュアル世論という言葉が使われており、「商品が売れるためにつくり出したい空気」と定義しています。
本書のキーワードです。
次に、その「カジュアル世論」を作り出すのに必要な3つの要素について説明しています。
1:おおやけ
2:ばったり
3:おすみつき
1:「おおやけ」は言い換えると「公共性」。
最近の消費行動の特徴は、商品そのものの便益よりも、その背後にある公共性に対する関心がトリガーとなることが多い。
本書では消費者が大人になった、と表現しています。
例えば環境問題への関心から、エコな商品を買う、など。
マスコミを活用する。
2:「ばったり」は言い換えると「偶然性」。
情報洪水な今日この頃、一つ一つの情報に出会う確立は前よりも下がっている。
その情報に出会ったのが偶然な場合もある。
そんな中、「なんだか知らないけど、最近あちこちでよく聞く」というのは、偶然の連続であって、他の情報よりも頭に残る。
クチコミを活用する。
3:「おすみつき」は言い換えると「信頼性」。
消費者はモノを見る目が肥えてきている。
そんな中、消費者の判断に大きく影響を与えているのは「専門家からの評価が高い」「尊敬する人も使っている」など、自分にとってのインフルエンサー=影響を受ける人の評価。
単純に「眼に良い商品」と言われるよりも「眼科医と共同開発した商品」のほうが信頼性がある、など。
インフルエンサーを活用する。
この3つの要素を意識してカジュアル世論を作り出します。
また、広告との違いは「広告枠を買うか買わないか」「信頼性が高いか低いか」「コントロールしやすいかしにくいか」という点で比較しながら説明し、まとめでは「ニーズを掘り起こすのがカジュアル世論」で「解決策を訴求するのが広告」と言っています。
このタイミングでナンですが、PRと広告の違いを簡単に説明するための例えば話を。
あなたはあるパーティ会場で自社の商品をできるだけたくさん売ってこいと言われました。
この時、会場に大きなディスプレイを設置するのは広告、一人ひとりに商品の良さを伝えて歩くのがPR。
あくまで簡単な説明ですが。
日本ではニュースとしてメディアに取り上げてもらうことをPRと認識している人が多いようですが、上記に紹介した3つの要素のように、PRの意味は広く、広告の上位概念でもあります。
アメリカでは広告会社よりPR会社のほうがたくさんあって、規模も大きいです。
話を本に戻します。
本書では戦略PRを使ったいくつかの事例を紹介しています。
例えばニンテンドーDSのソフト「漢検DS」。
日本人の漢字力が低下しているというニュースを流し(公共性)、そのことを人から聞いたりいろんなところで目にするようになり(偶然性)、大学の教授監修(信頼性)、ということで満を持して発売。
しかも発売日はメディアに取り上げられやすい「漢字の日」に。
毎年、今年を表す漢字一文字を発表するあの日です。
広告費に換算する相当な額に値します、が、広告枠を買って出している広告ではないのでゼロ円です。
結果、漢検DSは大ヒットして、シリーズ累計で100万本以上売れてます。
あと、生姜を全面に押し出した永谷園の商品「冷え知らずさん」シリーズ。
女性に身体の悩みアンケートを実施し、上位に「冷え」があることを発表。(公共性)
その後、いろんなメディアでその話題を目にするようになり、知人との話題にも登場。(偶然性)
日大医学部との共同開発。(信頼性)
結果、コンビニのカップ部門で月間1位になるなど、現在もいろんな種類がある定番商品に。
永谷園は社内に「生姜部」というのを作って、社をあげて生姜製品開発に取り組んでいくことを世間にアピールしています。
などなど。
このへんの事例は「コミュニケーションをデザインするための本」で電通の岸さんも紹介していました。
去年友達からもらって読みました。
オススメです。
とまぁ話が逸れつつパラパラ紹介してきましたが、大事なのは、
その時代の消費ストーリーに順応したゼロベースなマーケティング施策
だと思います。
本的には、「明日の広告」+「戦略PR」を合わせた感じですが。
最近だったらTwitter、Promoted Tweets、USTREAM、iPad、iAD、とかがストーリーに入ってくる感じでしょうか。
これもまたすぐに変化していくんだと思いますが。
このへんの技術や情報、去年末から加速感がハンパないです。
情報を得ることにばかり気を取られて、肝心なところに時間が割けなくなってる状態は避けねばなりませんね。
新しい情報を得つつ、マクロの状況も俯瞰しつつ、一般世間の感覚も捉えつつ、先を予測し、アクションは素早く熱意を持って。
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