2011年5月8日日曜日

[男前道] ソーシャルメディアとコミュニケーションデザインについて(「キズナのマーケティング」を読み終えて)

男前なら“いち”消費者でいろっ!

このGWは、ソーシャルメディアマーケティングを支援をする会社、トライバルメディアハウス代表、池田紀行さんの「キズナのマーケティング」という本を読みました。
去年買って読んだものの、ちゃんと読めてなかったので、もう一度最初からちゃんと読みました。




発行からもう1年経ってますが、今読んでもいろいろ勉強になることが多い1冊でした。
というか、1年前に既にこれだけの考えや知見を持っていろいろなキャンペーンを成功に導いていたことに、今の自分は何周遅れだよっ!と、自分の小ささを知りました。 出典:モンゴル800「あなたに」


本の概要ですが、前半は「ソーシャルメディアとは何ぞや」、後半は「ソーシャルメディアを使うにあたって」的な流れです。

もうちょっとちゃんと説明すると、まずはソーシャルメディアそのものとその周りで使われる言葉の意味や概念をわかりやすく説明し、昨今のマーケティング全体の流れからソーシャルメディアの現在における存在について解説し、その活用方法、実際に活用し始めるにあたっての注意事項や押さえておきたいポイント、最後にはソーシャルメディアマーケティングの成功例ということで、それらを実施した担当者との対談という形で載せてます。


「ソーシャルメディア」という言葉自体、人によって多少なりともイメージするところや理解が違うかと思うので、一応本書での定義を引用させていただくと、

(1)一般生活者が情報の発信者であり受信者であること。
(2)人と人(興味関心や人そのもの)がつながれていること。
(3)不特定多数の人が非同時的に「参加」できるプラットフォームであること。

具体的な例でいくと、2ちゃんねるのような掲示板もそうだし、Amazonや価格コムみたいなサイトにもレビューとかコミュニティ要素があるからそうだし、TwitterやFacebookやmixiや、アメブロなどのブログなどもそう。
よっぽどWEBに興味ない人でなければ、みんな何らかの形で日々ソーシャルメディアには触れてるはず。
友達のブログ見るなり、2ちゃん見るなり、食べログ見るなり、クックパッド見るなり。


本の要所要所に対する感想や意見を書いてたら誰にも読まれないぐらい膨大な文字量になりそうですが、この本を読み終えて思ったことをなるべく簡潔に書いてみます。


以下、本書を読み終えての「ソーシャルメディア」と「コミュニケーションデザイン」について。


なんだかんだいって当然ですが、いつの時代もマーケティングは「消費者」ありき。
「消費者」がいて、初めて成り立つ。
「消費者」がいるところ、「消費者」の興味関心、「消費者」の動き方を理解していないとダメ。
だから一番大事なのは常に自分も“いち”「消費者」でいること。
世の中にある商品やサービスを使うことが大事。
特に仕事でマーケティングに関わる人間なら、ヘビーユーザーとして使い倒すぐらいじゃないといけない。


それらを踏まえ改めて「ソーシャルメディア」というものを見てみると、それはただのマーケティング場所のひとつの選択肢でしかない。
自社のサービスや製品を使ってほしい人、使ってくれるかもしれない人がソーシャルメディアと呼ばれるサービスやサイトに多くにいるのであれば、何らかの形でそこにマーケティング活動を仕掛け、存在を知ってもらったり、友人知人に広めてもらったり、という場として活用する。

課題に対するひとつの選択肢として「ソーシャルメディアマーケティング」というのが増え、でもそれは結局古くからある手法でもあり、人がいて人から人に伝達される場は今で言えばソーシャルメディアだし、ただWEBサービスやデジタルデバイスの台頭で消費者にとって切っても切り離せないものになって、名称としてきちんと表舞台に出てきて、それが消費者の「空気」のような存在になってきたので、昨今ではマーケティング活動の何がしかで活用すべきな場になった、という感じ。


そう考えると、やっぱりこれからのマーケティング活動に重要なのは「コミュニケーションデザイン」という考え方。
企業と企業、企業と消費者、商品やサービスと消費者、消費者と消費者のコミュニケーションをデザインする。

「コミュニケーションデザイン」はさとなおさんの「明日の広告」さんの「コミュケーションをデザインする本」で知った言葉ですが、例えば「まずテレビCMをやる」とか、使うメディアから入るんじゃなくて、メディアニュートラルという考え方で、課題に対してフラットな視点で一番最適であろうメディアを中心に据え、そこからどんなストーリーで商品やサービスを知ってもらって、体験してもらって、他の人に広めてもらって、という流れにするかを考える。
必要なメディアをミックスし、ひとつひとつを綿密に考えて配置する。
そこにはひとつのストーリーがある。


岸さんが実施した永谷園の「冷えしらずさん」の例でいくと、まず世の中の女性の悩みに多いのは「冷え」であるとアンケートやグループインタビューを使って世の中にアピールする。(戦略PR)
そこでその「冷え」に良いのは「しょうが」である、と専門家に言ってもらう。
で「冷え知らずさん」を発売。
同時に、クチコミ力の強い女子ということで、女子大生をターゲットにミスコンを使ってタダコピとプロモーションサイトを設置。
タダコピとは、大学にあるコピー機の白紙の裏に予め広告が刷ってあり、その代わりに、学生はタダでコピーができる、という広告媒体。
いろんな大学のミスコンがコピーの裏に登場する。
コピー機のウィーンウィーンと次々に出てくるのを利用し、例えば青山学院大学のミスの写真、その後、その子のサーモグラフィ写真(表面の温度が色で表現されているやつ)、その後は慶應のミスの写真がきて、その後にその子のサーモグラフィ写真、という感じ。
「冷え」がテーマなので、「冷えしらずさん」を食べて手足まで温かくなってる、というのを暗にアピール。
サイトに行けば、このプロモーションに協力してくれた全ミスコンが見られる。
学生は自分の大学の子が出てれば気になるし、友達ならなおさら他の人に教えたくなる。
結果的になんとなく「冷え」とそれに良いのはしょうがで、しょうが使った商品に「冷えしらずさん」っていうのがある、ということを知ってもらう。
で、コンビニの店頭でばったり商品に出会う。
身体に良いものを食べたい女子としては「ちょっと買ってみよっかな」となる。
で、意外と美味しい。また買う。

そんな感じで、このプロモーションは大成功をおさめ、商品も大ヒット。
数ヶ月棚にあれば大成功なインスタント商品業界で、いっときはコンビニのインスタント部門で一番売れた商品に。
今もコンビニの定番商品。
永谷園は「永谷園生姜部」というのを作って、いろんなしょうがを使った商品を開発&リリースしてます。
もうサイトは無いので、当時エキサイトが書いた記事を。
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091200399948.html



と、コミュニケーションデザインについての説明が長くなってしまいましたが。。。。


まとめると、これからのマーケティングにおいて大切なのは、原点回帰ですが、

消費者志向のマーケティング

ということ。
これは池田さんも仰ってましたが、さとなおさんも岸さんも、最近マーケティングに携わっている人の多くはこの感覚になってきていると思います。


消費者といかに向きあっていくか、いかにコミュケーションをとっていくか、がポイント。
それをサポートをする代理店やコンサルファームの人は、いかにそのコミュケーションをデザインするか、がポイント。
ウソをつかず、背伸びせず、真摯な態度で誠意をもって、丸裸で消費者とゆるく長いコミュケーションをとり、「キズナ」を形成していく。
それにはまず自分も“いち”消費者として、商品やサービスを使い、良い悪いを肌で感じなければ話になりません。


そして何より大事なのはやっぱり担当者の熱い思いだと思います。
コンテンツやコミュニケーションの方法はもちろん大事ですが、やっぱり担当者に熱い思いがないとこれからのマーケティング活動は、そもそも企業として生き残っていけないと思います。
これまで以上に、自分たちの商品、サービスを知ってもらって、使ってもらって、好きになってもらって、ファンになってもらいたいという熱い思いが無いと厳しい時代になってきます。
営業とか人事とかマーケティングとか、部署や役割に関わらずそういう人が多い企業が強いと思います。
企業は結局「人」の集まりなわけで。


最後に。
個人的には、ソーシャルメディアに対して改めて考え、また、いつかは「コミュニケーションデザインで食っていけるようになりたい」と思った今年のGWでした。

(ただ、現状の仕事でいうと、大きな課題は「ソーシャルメディアマーケティングの効果測定」についてで、日々考えて、試行錯誤していくしかない、、、と思いながら周回遅れ感に焦ってます)

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